今冬も石巻で、女子中学生たちのサッカーの祭典「マイナビベガルタカップ2017 in Winter」が開催となった。期間中に繰り広げられた少女たちの熱い戦いはもちろんのこと、同大会は日本の女子サッカー発展に向けて関係者の期待を集めていると同時に、ベガルタ仙台が進める被災地復興支援という側面も持つ。本大会に寄せる関係者の声を聞いた。
ベガルタ仙台は2017年12月2日と3日の2日間、石巻市総合運動公園で「マイナビベガルタカップU-15ガールズサッカーフェスティバル2017 in Winter」を開催した。「2017復興支援 in 石巻」の一環で、冬の石巻でサッカーにかける少女たちの熱戦が繰り広げられた。
同大会は、同年代と対外試合を行う機会が少ない中学生女子のために、その機会の創出を目的に創設されたもので、今回で4年目。石巻市との間で締結した「ベガルタ仙台と石巻市との復興支援連携協定」に基づくイベントの一環として行われるもので、マイナビベガルタ仙台レディースU-15や東北6県の優勝チーム、さらに栃木県からのチームを含む計12チームが石巻に集結した。
マイナビベガルタカップの開催意義には色々な側面がある。まずは女子サッカーの普及だ。「なでしこジャパンのワールドカップ制覇など、脚光を浴びることはあったが、女子のサッカー人口は決して増えているとは言えない」と語るのは石巻サッカー協会理事長の本郷栄一氏。「女子サッカーは、小学生のうちは良くても、中学生になると部活など続ける環境が激減するのが現状です。石巻は女子サッカー人口が特に少ないので、普及と拡大に向けた大きなきっかけの一つにしていきたい大会です」と氏は続ける。
また、特別協賛として大会に名を冠する株式会社マイナビ宮城支社長の濱野正人氏も「女子サッカーの場合、対外試合から切磋琢磨し、レベルアップしていく環境というのはまだまだ少ない。特に中学生世代の競い合える場というのは限られている」と、同大会が貴重な機会になっていると語る。
そして忘れてならないのは復興支援という側面だ。「こうして石巻に県外から多くの人がやってくること自体がすごくうれしいのです」と語るのは本郷氏。氏は「東日本大震災で人的被害が最も多かった石巻に自ら足を運び、その目で見て、地元に持ち帰っていただきたいですね。特に大会に参加する世代は当時小学生で、ピンときていない選手も多いです。サッカーを通じてそんな層に発信していくことは、風化させないためにも大きな意義があるのです」と続ける。
また、濱野氏は「弊社の復興支援活動には、震災を経験した東北支社(当時)のメンバーの強い思い入れが脈々と続いています」とも語り、「私自身は神奈川出身ですが、宮城支社に来た以上その思いは同じです。東北の人間の一員として、大きなテーマである復興に、地元の人としてともに歩んでいきたいです」と決意をにじませる。さらに濱野氏は、「泊まりがけで被災地に訪れ、2日間大会に参加するということ自体が、経済的な支援にもなるのではないでしょうか。この大会にはそうしたお祭り的要素もあると考えられます」とも語る。

本郷栄一氏

濱野正人氏
2016年9月に「マイナビベガルタ仙台レディース」タイトルパートナーシップを締結した際に、その目的のうち育成の項目には、「2020年までに、マイナビカップ(2015年にスタートした東北地区のU-15レディースサッカー大会)に海外チームを招聘し、国際大会とする。また、大会に出場した選手たちから、レディーストップチームで活躍できる選手を育成する」とある。早速2017年夏にはスペインから古豪ビジャレアルの女子U-15チームを招き、インターナショナルカップとしての第一歩を刻んだが、このようにマイナビベガルタカップにはさらなる進化が期待されている。
この点について濱野氏は「もっと盛り上がって良い大会だと感じています。全国的な広がりがあっても良いかもしれませんし、また認知や大会開催の頻度なども改善していけるでしょう。もっと多くの様々な人の耳目に触れるようにしていかなくてはなりません」とさらなる発展に期待を寄せる。
本郷氏も「全国的な広がりを持たせたい」と同調する。「震災当時、石巻は様々な方々から支援をいただきました。全国のそして世界中の支援者に今の石巻を発信していくためにも、この大会は継続していきたいし、全国大会、世界大会と規模が大きくなって欲しい」とも。
両氏の言葉には、女子サッカー育成年代にとって欠かせない存在であるとともに、被災地からの情報発信というある種のメディアとしての役割も持つ本大会が、より全国的、あるいは世界的な大会への成長・飛躍という大きな期待がにじむ。
本郷氏は「参加する子どもたちにとって、同世代の仲間との国際交流は、大きい価値がある」とも述べており、これは2017年夏のビジャレアルとの交流ですでに成果が出始めている。
12月2日(土)に開会したマイナビベガルタカップ2017 in Winter。初日は参加する12チームが4チームずつ、3ブロックに分かれての予選リーグとなった。熱い予選を経て、迎えた2日目。予選リーグの順位により上位、中位、下位トーナメントとして順位決定トーナメントが開催された。
マイナビベガルタ仙台レディースジュニアユースは、準決勝で五戸町SCと激突。互いに譲らぬ厳しい戦いとなり、0−0のままPK戦へ突入。マイナビベガルタがこれを制し、決勝進出となった。
決勝の相手は栃木県の強豪、マイナビベガルタ仙台レディースに所属する井上綾香選手を輩出した河内ジュベニール。予選を圧倒的な強さで勝ち進んできた河内を相手に、高いレベルでの攻防が展開されるが、マイナビベガルタ仙台レディースジュニアユースは前半に正野瑠菜選手が決めた得点を守り抜き、大会覇者に輝いた。